大学・短大・専門学校の志望理由書を書くために大切なたった1つのこと

こんにちは。福田泰裕です。

大学・短大・専門学校を推薦入試やAO入試で受験する際に必要となってくるのが志望理由書です。
文字数は、少ない学校では200文字程度、多い学校では1200文字程度など、学校によって大きく異なります。

私は高校教師をしており、3年生の担任を何度も経験しました。
彼ら彼女らを指導していく中で、様々な志望理由書と出会いました。

私は、生徒のために自分がすべて書いてあげるような指導はしていません。
ちょっとアドバイスをして、生徒が書き直して来るのを待つというスタイルです。

そして、私のアドバイスはいつもたった1つのことです。
このアドバイスを聞いて、2~3回書き直せばGOODな志望理由書が完成します。

実は、たった1つのことを頭に置いて、パターンに当てはめて書いてしまえば誰でも簡単に書けてしまうのです。

今回は、そんな志望理由書の書き方について解説していきます。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

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まず、BADな志望理由書を見てみよう

まず、BADな志望理由書を見てみましょう。

1.入学後、何を学びたいか
私は将来、患者さんから信頼される看護師になりたいと考えている。
貴学入学後は、看護師として必要な力・知識を身につけるだけでなく、他学部の学生と積極的にコミュニケーションを取り、コミュニケーション能力を育みたい。また、多くの資格を取得するために勉強に励みたい。

2.高校時代に最も頑張ったこと
私が高校時代に最も頑張ったことは部活動だ。
私は3年間吹奏楽部に所属し、毎日練習に意欲的に取り組んだ。最後の大会の前は部員全員で朝早くから夜遅くまで熱心に練習した。積極的に後輩の指導もした。顧問の先生も一生懸命頑張ってくれた。部員みんなで励ましあって、金賞を受賞することができた。

何がダメなのか分かりますか?

この志望理由書は、残念ながらほぼ0点です。
何も書かれていないのと同じです。

志望理由書には何を書くべきなの?

じゃあ、何を書けばいいんだと思うかもしれません。

看護師になりたい、コミュニケーション能力を育みたい、資格を取りたい、吹奏楽部で頑張った。
ちゃんと書いてるじゃないですか!

そうです。
言いたいことは分かります。

でも、私はこう返します。

この志望理由書なら、誰が出しても使えそうだね。
看護師になりたい、コミュニケーション能力を育みたい、資格を取りたい、部活を頑張った。
これは、受験生みんな同じだよ?

学校側は、志望理由書を何十枚、何百枚と読むことになります。
こんな全員が書くような当たり前のことしか書かれていない志望理由書は、ほとんど点が無いでしょう。

まず大事なことは、志望理由書に個性を持たせることです。
自分だけの志望理由書を書くようにしましょう。

志望理由書を書く際に大切なたった1つのこと

では、自分だけの志望理由書を書くために、大切なこととは何でしょう。
ズバリ結論から言います。

具体的に書く

ということです。

意識することは、本当にたったこれだけです。
この具体的に書くということを意識するだけで、あなたの志望理由書は劇的に変わります。

これを最初から意識して書ける高校生は、とても少ないのです。

志望理由書を書く意味は?

まず、なぜ志望理由書を書く必要があるのか考えてみましょう。

それは、学校側があなたのことを知りたいと思っているからです。

推薦入試やAO入試では面接を行う学校が多いですが、たった一度の面接だけでその人物を知るというのは不可能です。
その受験生が何を考え、どのような事を学びたいと思っているのかを知りたいのです。
しっかりと自分の思いを整理して、相手に伝わる文章を書きましょう。

具体的に書くということを忘れずに。

志望理由書を書くために考えること

何もせず、いきなり志望理由書を書くことはできません。
志望理由書を書くための準備が必要です。

将来の目標を決める

大学へ進学するのも、短大・専門学校へ進学するのも、目的は同じです。
将来の目標とする自分に近づくためです。

特に短大・専門学校は職業と直結している場合が多いです。
「〇〇になりたい」「〇〇関係の仕事に就きたい」と明確に決めておきましょう。

大学の場合は、「〇〇の研究がしたい」「〇〇についてもっと詳しく学びたい」という動機もありです。

当たり前のことは志望理由書に書くな

次に、その目標について深く掘り下げていきましょう。

例えば「看護師になりたい」場合、どのような看護師になりたいのかを考えていきます。

ではここで、ダメな例を1つ挙げます。

看護師になりたいです。

目標とする看護師は、『患者さんから信頼される看護師』です。

さあ、何がダメか分かりますか?
一見すると『患者さんから信頼される看護師』って、素敵ですよね?

もし私のクラスの生徒がこのように言ってきたら、こう聞き返します。

『患者さんから信頼される看護師』って、具体的には何をする看護師なの?

うっ……分かりません。

別に嫌がらせをしている訳ではなく、大事だから聞いているのです。

『患者さんから信頼される看護師になりたい』……そんなの当たり前です。
もし「患者さんから信頼されたくない」と思っている看護師がいたら会ってみたいです。

どの看護師も、「患者さんから信頼されたい!」と思って働いているはずです。
つまり「患者さんから信頼される看護師になりたい」と言うのは、「寿司が握れる寿司屋になりたい」と言っているのと同じことです。

だから、「子どもから慕われる保育士になりたい」「上手な授業ができる教師になりたい」「安心して過ごせる家を建てる建築士になりたい」というのは、すべて0点の志望理由です。

具体的に何をするべきか考えよう

「患者さんから信頼される看護師」の例に戻ります。

この場合、考えるべきは「どうやったら患者から信頼されるのか」です。

具体的に考えてみましょう。
例えば、

  • 患者さんと積極的にコミュニケーションをとる
  • 医療に関する知識が豊富で、いつでも適格にアドバイスできる
  • 時間があれば患者さんの話し相手になり、信頼関係を築く

などが挙げられます。

こうして目標のために必要なことを具体的に考えておけば、『入学後に学びたいこと』が考えやすくなるのでオススメです。

入学後に学びたいことを志望理由書に書く

目標が具体的に決まったら、次は入学後に学びたいことを考えましょう。

ここでも大切なのは、具体的に書くということです。

例えば上のダメな例の場合、

・他学部の学生と積極的にコミュニケーションを取り、コミュニケーション能力を育みたい。
・多くの資格を取るため、勉強に励みたい。

と書かれていました。
これらは一見それっぽい、無難な内容ですが、中身がまったく無いペラッペラの文章です。

それは、具体性が無いからです。
この志望理由書を書いた生徒に聞いてみましょう。

具体的には、何の資格が取りたいの?

英語の資格です。
英検準1級を取りたいです。

なんで看護師なのに英検なの?

これから外国籍の患者さんが増えると思うんです。
英語が話せたら、そういった患者さんたちとコミュニケーションが取れるかな、と思っています。

いいね!
それを書こうよ!

こんな感じです。
だいたいどの生徒もちゃんと考えており、聞いたら喋れる場合が多いです。

しかし、その自分の考えを文章にしていないのです。
これは本当にもったいない!!

『資格を取るために勉強に励む』という文章でも、

現在、病院では外国籍の患者さんが増えている。そのような患者さんとコミュニケーションを取るために、入学後は他学部の学生や留学生と積極的にコミュニケーションを取り、英語をしっかり学習したい。また、在学中に英語検定準1級も取得したい。

このように書けば、志望理由書に具体性が出てきて面白くなりますよね。
単に「英語を勉強したい」と言うより、説得力がグッと増します。

考えていることは文章にしないと伝わりません。
深く深く考えて、それを志望理由書に書きましょう。

どの授業で、どんな事を学びたいのか志望理由書に書く

よく分からないけど、
『入学後は看護師として必要な力・知識を身につけたい』って書いちゃお。

「看護師として必要な力・知識」って具体的に何?
この学校に入学して、どの授業・どの場面で学びたいの?

うっ…分かりません。

「看護師になるために、入学後は看護師として必要な力・知識を身につけたい」
そんなの当たり前です。
「寿司屋になるために、寿司を握る技術を学びたい」と言っているのと同じです。

ここでも、看護師として必要な力・知識を具体的に考えてみましょう。
例えば、

  • 医療の知識
  • カウンセリングの知識
  • 責任感
  • 共感力
  • 精神力
  • 体力

などなど、いくらでもあります。

どれを書いたらいいんですか?
どれが一番良いですか?

と聞きたくなるかもしれませんが、正直どれでも良いです。
なぜなら、すべて必要な力・知識だからです。

例えば、「医療の知識」に着目してみましょう。

入学したらどうやって医療の知識を学ぶの?

講義をちゃんと聞いていきたいです。

具体的には、どの講義が楽しみなの?
学校のシラバスは見た?

この学校は、1年生のうちから病院へ実習に行けるんです。
勉強したことがすぐ実習で活かせるから楽しいって先輩が言ってました。
あと「〇〇〇学Ⅰ」って講義は、現役の看護師さんがお話をしてくれるんです。
現場のお話が聞けるから、すごく面白いらしいです。
学校の設備もすごく整っていて、模擬病室が4つもあって、そこでも現役の看護師さんから指導を受けることができるらしいです。

いいね!
それを書こうよ!

この話を志望理由書に入れてみましょう。

貴学では、1年生のうちに病院へ実習に行って実際の医療の現場に触れることができるため、講義で学んだ知識すぐに実践できるという点に魅力を感じました。また、〇〇〇学Ⅰの講義や模擬病室での実習では、 現役の看護師の方から直接お話を聞くことができるため、他の大学では聞くことのできないようなお話が聞けると思い、志願しました。

という風に、その学校の具体的な講義名、設備、実習などを書くことが大切です。

意欲的に、積極的に、実践的な、熱心に、一生懸命に…は書かない

「意欲的に」「積極的に」「実践的な」「熱心に」「一生懸命に」などの言葉って、カッコイイですよね。
ついつい使いたくなります。
例えば

3年間、練習に取り組んだ。

と書くよりも、

3年間、毎日一生懸命になって意欲的に練習に取り組んだ。

と書いた方がカッコイイです。

しかし、結局どっちもただ練習しただけです。
志望理由書の文字数は限られているので、できるだけ無駄を省いて書くべきことを書く必要があります。
いくら「積極的に」「意欲的に」取り組んだアピールをしても無駄です。

このカッコイイけど中身がない言葉を使うのはやめましょう。

部活はみんな入っている。そこから『何を学んだか』を志望理由書に書こう

よく、部活動の成績や成果をアピールする人がいます。
キャプテン、全国大会出場、〇〇大会優勝、……などです。

でも、〇〇大会で優勝したことが、将来の目標に何か関係あるのですか?

吹奏楽部の部長だったことが、看護師に何か関係あるの?

えっ、ダメなんですか……?

もちろん、ダメではありません。
部長を務めることはとても大変なことですし、全国大会に出場したり、大会で優勝したりするためにはものすごく努力したはずです。

大事なのは、その経験を通して何を学んだのかです。

部長、いろいろ大変だったでしょ。
何が一番大変だった?

3年になったころ、部員同士の仲が悪くなってしまったときです。

勝ちたいと思う人と、そうでもない人たちの間に溝があって、練習中も変な雰囲気になってたんです。私も後輩を怒ってばかりで、練習に行くのが辛かったです。

そこで、みんなで話し合いをしたんです。
すると、本当は勝ちたいと思ってるけど、なかなか上手くならないから面白くなかったということが分かりました。

だから、上手な人とペアを組んで教えてもらえるようにしたら雰囲気が良くなって、チーム全体がまとまって金賞が獲れたんです。

すごくいいエピソードがあるね!
そこから何を学んだの?

自分の意見を押し付けるだけじゃなくて、話し合って相手を理解することが大切だということです。

いいね!
それを書こうよ!

このエピソードを志望理由書に入れてみましょう。

私が高校時代に最も頑張ったことは、吹奏楽部の部長を務めたことだ。
最後の大会の前に、大会で勝ちたい部員とそうでない部員の仲が悪くなった。私も後輩を怒ってばかりで、練習の雰囲気も悪かった。そこで、部員全員で話し合うと、本当は勝ちたいのに上達しないから練習が面白くなかったということが分かった。そこで、上手な人とペアを組んで教えながら練習する体制にすると練習の雰囲気が良くなってチームが団結し、最後の大会では金賞を受賞することができた。
私はこの経験から、話し合って相手を理解することの大切さを学んだ。

これだけ具体的なエピソードが書ければ、他の志願者と内容が被ることは少ないでしょう。
最後に、この経験から何を学んだのかを書けば、具体的なエピソードのおかげで説得力があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は「志望理由書を書くために気を付けるたった1つのこと」についてお話しました。

この記事をまとめると、次のようになります。

  • 将来の目標を決め、具体的に何をすれば良いのか考える。
  • 入学後に学びたいことを具体的に考える。
  • 講義名、実習、設備など具体的に述べる。
  • 「積極的に」「意欲的に」「熱心に」などの言葉は使わない。
  • 部活などの経験から、何を学んだのか具体的に書く。

志望理由書の段階で深く考えておけば、面接の場で質問されても答えられるはずです。

キーワードは「具体的に書く」です!
この記事が1人でも多くの受験生の役に立てば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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福田 泰裕

33歳、2児の父。 山口県の高校教師で、担当は数学と情報。 毎日定時ダッシュするために、働き方改革を実施中。 数学教育・情報教育・教師の働き方・教師のEXCEL講座などを記事にしています!