【部活動顧問の問題点】部活動の顧問を教師が担うのは間違っている

こんにちは。福田泰裕です。

中学・高校時代の思い出といえば、何ですか?

最も思い出に残っていることとして「部活動」を挙げる人は、非常に多いと思います。
部活動は、日本の学校には欠かせない存在です。

しかしその一方で、顧問を任されている教員の負担の大きさが問題となっています。

今回は、この部活動の顧問を教員に任せるのは無理があるという個人的な考えを述べてたいと思います。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

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部活動は学校に欠かせない存在である

部活動は、学校に欠かせない存在となっています。

〇〇高校はバレー部がとっても強いから、私もそこに入部して全国大会に出たい!

◇◇高校の野球部は強すぎて、僕は試合に出られそうにないな…

だから、〇〇高校の野球部に入って、レギュラーを目指そう!

このように、入りたい部活動から受験する高校を決める中学生は多くいます。
それだけ生徒にとって、部活動というのは大きな存在なのです。

部活動は、教師にとっても大きな存在(良くも悪くも)

そして、教師の立場からも部活動は大きな存在です。

今週末は大会がある!
だからこの1週間は気合入れて練習するぞー!

このように、部活動に燃える教師が大勢います。

部活動というのは授業よりも努力の成果が表れやすく、生徒も意欲的に活動することが多いです。
そのため、本気で取り組めばとてもやりがいを感じることができる分野なのです。

しかし一方で、大きな負担を感じながら顧問を務める教員も多くいます。

せっかくの土日なのに、両方とも試合の引率で潰れちゃった…

平日は19時まで練習があって帰れない…

このように、部活動に対してやりがいに燃える教員と、大きな負担を感じている教員がいるのです。

部活動顧問制度の問題点

現在の日本では「働き方改革」が叫ばれています。

これまでの日本は家族を犠牲にして夜遅くまで残業し、会社に尽くすことが美学とされてきました。
しかし「働き方改革」によって、この働き方が見直されています。
これまでの業務を見直して行き過ぎたサービスを縮小し、『勤務態勢を適正なものに戻す』という時代の流れがきています。

教師も労働者なので、「働き方改革」を進めていくべきです。
その時代の流れの中で、私は部活動顧問という制度を続けていくのはどう考えても無理であると考えています。

部活動顧問の問題点①:時間外勤務は1日平均『3時間22分』!?

まず、教師の仕事は『ブラック』であることは世間一般の常識となりました。

文部科学省が10年に一度実施している「教員勤務実態調査」というものがあります。
この調査によると、中学校の教諭の時間外勤務は1日あたり平均3時間22分とあります。
(参考:文部科学省HP

1日平均3時間22分なので、1か月の時間外勤務が100時間を超えることがあっても何も不思議ではありません。

この尋常ではない時間外勤務の最大の要因は『部活動顧問』なのです。

部活動の顧問には様々な業務があります。
普段の練習の監督、ケガをした際の手当、練習試合相手の確保、試合の引率、大会の申し込み……
これらを勤務時間内に終えることは絶対に不可能です。

また、土日や祝日は休日ですが、練習の監督のために出勤せねばなりません。
もし休日に試合があれば、丸一日付き合うことになります。
これらはすべて時間外勤務となり、教師の大きな負担となっています。

つまり「部活動顧問を引き受ける」ということは「時間外勤務を行うことを約束する」ことと同じなのです。

部活動顧問の問題点②:部活動顧問は休みなし!そして『ほぼ無給』!?

これだけの時間外勤務を強いられる部活動顧問ですが、なんとほぼ無給で成り立っています。

これは筆者の勤務地(山口県)での例ですが、休日の練習・大会引率は一律2,700円が支給されます。
文部科学省が発行している部活動ガイドラインに「部活動は1日3時間まで」と決められているため、1時間あたり900円×3時間=2,700円が支給されているのです。

しかし、試合の引率となると3時間では終わりません。
朝早くから出発して引率して丸一日監督業務(+大会運営業務など)を行って夜遅くに解散…となって12時間以上拘束されても、支給額は一律2,700円です。

更に公式戦は「勤務日扱い」となり、手当がもらえない代わりに『代休』が1日もらえます。
(そもそも年休が消費できていないので、代休をもらっても嬉しくない。)

平日の部活動顧問の業務については、完全に無給です。
たとえ午後7時まで練習しても、1円も支給されません。

このように、部活動顧問というのはほぼ無給で行われているのです。

部活動顧問の問題点③:ほぼ無給なのに『責任は重大』!?

上で述べたように、部活動顧問の業務はほぼ無給で行われています。

部活動顧問は『生徒を指導監督し事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務がある』という裁判での判例があります。
そのため、練習中や引率中に何かあったときは厳しく責任を問われます

部活動顧問の責任を問う判例①

ある中学生が体育館でトランポリンで遊んでおり、バレーボール部の練習を妨げていました。
バレーボール部員はそれに腹を立て、遊んでいた生徒たちの顔面を殴って左眼を失明させました。

これに対して「生徒間において対立、紛争の生じた場合に暴力に訴えることがないように教育、指導がされていたか否か」等が問われました。

(最二小判昭和58年2月18日〔判例番号60〕)

部活動顧問の責任を問う判例②

サッカー部に所属していた高校生が、試合中に落雷が直撃し負傷しました。

運動広場の南西方向の上空には黒く固まった暗雲が立ち込め、雷鳴が聞こえ、雲の間で放電が起きるのが目撃されていたため、落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見すべき注意義務を怠ったという判決が下されました。

(最二小判平成18 年3 月13 日〔判例番号246〕)

ほぼ無給でも、何かあったら裁判にまで発展し、責任を問われるのが部活動顧問なのです。

部活動顧問の問題点④:教師の部活動顧問は『職務ではない』!?

それでは、なぜ部活動顧問は「ほぼ無給」なのでしょうか。
その理由は簡単で、部活動顧問は教師の職務ではないからです。

正確にいうと、「部活動顧問は必ずしも教師が担う必要のない業務」という扱いです。
文部科学省や県、地方自治体の立場からは、部活動は「教師たちが勝手にやっている事」と認識されています。
校長や教頭も、部活動顧問を命令しません。
あくまで「お願い」しているだけです。

このように、現場の教師たちにとっては大きな負担となる部活動顧問でも、上の立場からすれば「好きでやっているんでしょ?」の一言で片づけられてしまっている状況なのです。

部活動顧問は、このような曖昧な業務なのです。

なぜ、部活動顧問はなくならないのか

これだけの問題を抱えている部活動顧問ですが、なくなる気配はありません。
その理由を考えてみました。

部活動顧問がなくならない理由①:教育的効果が大きい

部活動は教育的効果が大きく、生徒たちは部活動を通して肉体的にも精神的にも大きく成長します。

学校の教室では冴えない生徒でも、グラウンドに出れば生き生きと活動する…なんてことはよくあります。

また、以前は「放課後の非行を防止するため」といわれていました。
放課後すぐに生徒を帰らせると何か事件を起こしてしまうから、学校で面倒を見よう…という流れがあったのかもしれません。

更に、部活動を通して集団生活の面白さや規律を守ることの大切さを学ぶこともできます。
部員たちと協力して練習して一緒に成功や失敗を味わったり、ルールを守って集団として強くなっていくことを学んだりするには絶好の場です。

部活動を通して生徒は様々なことを学び、成長するのです。

部活動顧問がなくならない理由②:代わりの人材がいない

私たちは高校野球の試合をテレビで観たり、全国大会に母校が出ていると応援したりします。
日本人は中学生・高校生の部活動が大好きで、私たちの生活に部活動は強く根付いています。
そのため、もし部活動を学校から切り離すことになっても部活動を廃止することにはならず、どこか別の団体に移されることになると思います。

そこで問題になってくるのが、代わりに受け持つ人材がいないということです。

自分の好きなスポーツを子どもたちに教えることは、とても素晴らしいことです。
上達していく子どもたちと時間を共有できるので、大きなやりがいを感じることができます。

しかし、それがほぼ無給&休みなし&責任を問われるとなれば話は別です。

ボランティアでスポーツを教えているのに、子どもが怪我をしたら裁判を起こされる。
試合で朝から晩まで引率しても1円も支給されない。

このような状況で、代わりに受け持つ人材が見つかるはずがありません。

「部活動は地域へ移行する」と言うのは簡単ですが、実際に完全移行する日はやってこないと思います。

部活動がなくならない理由③:『部活動こそ教育』と考える人たちの存在

3つ目の理由は『部活動こそ教育』と信じている教師の存在です。

自身が学生時代に部活動で成功を収めたり、顧問になって全国大会に出場したりして学校を立て直した…といった成功体験の多い教師が陥りがちです。
こういった教師たちは「授業よりも部活動が大事」「課外は受けなくていいから部活動をやれ」ということを平気で言います。

そしてこういった考えの教師たちは、総じて声が大きいという特徴があります。

職員会議で部活動を優先するような発言をしたり、部活動顧問に消極的な教師に対して「あいつはダメだ」と発言したり…部活動が学校で最も大事な業務だと信じており、それを正義と信じて強制するのです。

これによって「部活動は大事なもの」という考えが学校全体に広がり、生徒にも波及していきます、
このような考えの教師がいる限り、部活動が学校から切り離されることはありません。

部活動がなくならない理由はまだまだありますが、この辺にしておきます。

個人的見解『部活動の顧問を教師が担うのは間違っている』

以上、様々なことを述べてきましたが、私は「部活動の顧問を教師が担うのは間違っている」という見解です。

文部科学省も「教師の最も重要な業務は授業であり、部活動顧問は必ずしも教師が担う必要はない」と言っています。
それなら教師も部活動をさっさと手放せばいいのに、現場では「顧問は教員全員が担い、生徒のためなら休日返上は当たり前」という考えが揺るぎないものとなっています。
タダ働きをさせられているのに、ほとんどの教師がこのことを疑わずに受け入れています。
中には、

「教師が部活動を面倒見ないと、代わりに誰が受け持つの?」

という反論をしてくる人がいますが、まったく的外れの馬鹿げた反論です。

「そもそも、なぜ教師が担っているのか」

というところが部活動顧問制度最大の問題点なのです。
『代わりを見つけること』ではなく、『そもそも教師の業務ではない』ということが重要なのです。

給料は出ない、休日返上、責任は問われる、職務と認められていないこのような最悪の状況で「部活動顧問は教師が受け持つべき」というのは、まったく理屈の通っていないお話です。

以上から、私は「部活動を教師が担うのは間違っている」と考えています。

まとめ:現場から声をあげていくしかない

いかがだったでしょうか。

部活動の顧問制度というのは、調べれば調べるほど矛盾点が見つかる制度です。
しかし、このような最悪な状況なのに「部活動顧問反対!」という声がほとんど聞こえてこないというのが不思議でなりません。
教師たちは忙しすぎるので、考える時間も奪われてしまっているのでしょうか…

しかし部活動顧問制度に1人で反対しても、まったくの無力です。
まずは自分の職場で仲間を見つけて、集団で校長や教頭に訴えかけて、学校として部活動顧問反対という立場を取り、その流れを地区、県、日本全体へと広めていくしかないと思います。

泣き寝入りをしていては、いつまでたっても現状は変わりません。
1人ひとりが勇気を出し、声をあげていきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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福田 泰裕

33歳、2児の父。 山口県の高校教師で、担当は数学と情報。 毎日定時ダッシュするために、働き方改革を実施中。 数学教育・情報教育・教師の働き方・教師のEXCEL講座などを記事にしています!