センター試験事件簿その3【2000年~2004年】

雑記

こんにちは。福田泰裕です。

受験生にとってセンター試験というのは、まさに人生をかけた大勝負の舞台です。
この日のために何年も前から努力を重ねてきます。
だからこそ、受験生には何一つ不自由のない状態で、平等に試験が実施されることを願うのみです。
しかし、毎年事件が起きてしまうのです。

そのセンター試験事件簿を、5年ごとにまとめてみました。

その1【1990年~1994年】👇

その2【1995年~1999年】👇

今回は事件簿その3【2000年~2004年】です。

この期間は、笑えるネタから政治色の強い問題まで様々です!

ぜひ最後まで読んでください!

目次

広告

【2000年 第11回】センター試験の魔物”Pat様”が初登場!

この年、センター試験にある魔物が降臨しました。

その正体は、これから多くの受験生の頭をかき乱す、通称“Pat様”です。
Pat様は、第5問の長文に現れました。
ゲームの第4ステージをクリアできないEmiに、Pat様がアドバイスをする内容となっています。

その問題文の日本語訳がこちらです。

Emiは友達のPatからコンピューターゲームを貸してもらいました。
今日彼女は、それを初めて試しています。
Emi:まあいやだ。また失敗した。
一つ前の出発点まで戻ってしまったわ。
私にはもう、この第4ステージをクリアするチャンスがないわ。
Pat:どうしたんだい、Emi。
Emi:第5ステージに届かないの。
Pat:お気の毒に。一休みしたらどうだい。
そうすればぼくが君に秘訣を教えてあげるよ。
Emi:わかったわ。
Pat:どこまで行けたんだい?
Emi:えーっと。
スタート地点で穴から出てきた時に、きのこを踏んづけちゃいけないっていうことは知ってるのよ。
Pat:そのとおりだね。
それにどんぐりにも気をつけなくちゃいけないよ。
Emi:木から落ちてくるあの小さいもののこと?
Pat:そうだよ。当たったら死ぬからね。
Emi:それじゃ、私はきのこもどんぐりも避けなくちゃいけないの?
Pat:さあ、どちらとも言えないね。
いい?落ちてくるどんぐりにきのこがぶつかるまでがんばり抜けば、走って木を通りすぎるのに2,3秒あるね。
それがどんなふうに光っているか、気が付いた?
Emi:光るですって?
Pat:いい?
どんぐりときのこが全部、突然色を変えて明るくなる時だよ。
Emi:どんぐりがぶつかったすぐ後で?
Pat:そう。
それが木の前をぐるっと走るチャンスだよ。
Emi:後ろではなくて?
Pat:ちがうよ。それは危険すぎるよ。
木の幹を走って降りているあのリスを見てごらん。
Emi:ああ、あれね。
Pat:それと、あの枝からぶら下がっている蜂の巣もね。
Emi:うんうん。
Pat:あのね、それのどちらかに触れると、ゲームが終わるからね。
Emi:わかったわ。
じゃあ、身を低くして、蜂の巣の前の適当なところにいて、それから窓をよじ登って通るのね。
Pat:いや、実際はそうじゃないよ。その家は罠なんだ。
しなくちゃいけないことは、はしごをだいたい半分上って、そこから手を伸ばしてあのペンキの缶をつかむことなんだ。
Emi:そのビンはどうなの?
Pat:もうひとつの罠なんだ。
それを動かすと窓が頭の上に落ちてくるよ。
Emi:そうすると、どうすれば第5ステージに行けるの?
Pat:ああ、それが秘訣なんだよ。
缶からペンキ用のブラシを取らなくちゃいけないよ。
来た道を戻って、きのこと蜂の巣の間でひざまづくんだ。
Emi:木の根元のところで?
Pat:その通り。
それからペンキ用のブラシで木の幹に触れるんだ。
そうすればドアが現れるよ。
Emi:自分で木にドアを描くっていう意味?
あら、魔法だわ。やってみなくちゃ。待ちきれないわ。

一体何の話をしているのでしょう。
ゲームの画面がまったく想像できません。

そして、この長文を読んだ後の問いがこちら。

正解は④です。

しかし、このPat様の延々と続く死に方の説明と、それに対するEmiの「待ちきれないわ」発言で受験生の頭は大混乱となったでしょう。

【2001年 第12回】英語の長文が教科書そっくり!?国語は感動の文章!

英語の第6問で事件が起こりました。
第6問で出題されて小説文が三友社出版発行の高等学校英語教科書掲載の文章と出典が同じで、ストーリーも酷似していました。

「特定の教科書を使っていた受験生だけが得点しやすい試験は平等性に欠ける!」といった批判がありましたが、この教科書のシェアが0.25%、採択部数4,000部と少数であったことから、特に措置が取られることはありませんでした。

また、国語Ⅰでは江國香織の短編集「つめたいよるに」に収録されている小説「デューク」が出題されました。

愛犬が死んでしまった翌日に起きた不思議な出会いと別れをテーマにした感動のストーリーに、受験中に涙を流してしまう受験生もいたということです。

一部では、このように集中力を削ぐような出題はいかがなものかという意見もありました。

【2003年 第14回】Pat様再び!受験生を混乱状態に!

2003年、再び魔物”Pat様”が帰ってきました。

Pat様は、友人のTerry、Andyとキャンプに来ています。
Terryが蚊に刺されてしまい、虫除けスプレーを探すために大きなリュックと小さなリュックから探そうとしているところです。

Terry: Which one?
(どっちにあるの?)
Pat: The big one.
(大きい方だよ!)
Terry: Where in the backpack?
(リュックのどこにあるの?)
Pat: In the side pocket.
(横のポケット!)
Terry: The side pocket? Which one, top or bottom?
(横のポケット?上と下どっち?)
Pat: The bottom one.
(下の方だよ!)
Terry; Let’s see… Now, I can’t find it.
(うーん、見つけられない!)
Are you sure it was this backpack?
(本当にこのリュックなの?)
Pat: Oh, sorry, it must have been the other one.
(あ、ごめん。もう一つの方だった。)
Terry; The other one?
(もう一つの方?)
Ah, yes, here it is, but it’s in the top pocket.
(ああ、あった!でも上のポケットだよ!)

さっさと言えばいいのに、「どっち?」「大きい方だよ」「どこ?」「横のポケットだよ」「上?下?」「下だよ」と、1つずつ教え、挙句の果てにそこには入っていないのです。

しかし、問題はそこではありません。

この文章に対する問がこちら。

この問題を解くカギは、Pat様の「the other one.」なのですが、直前に「this backpack ?」があるため、「もう一つのポケット」なのか「もう一つのリュック」なのか判断しづらく、受験生を混乱させました。
(ちなみに、正解は③)

このPat様のまどろっこしい言い回しから、魔物Pat様と言えばこの2003年の問題が引き合いに出されます。

【2004年 第15回】”強制連行”はあったのかをめぐり裁判にまで発展!

2004年では世界史の問題をめぐり、裁判にまで発展する事件が起こりました。

事件のきっかけとなったのは第一問の問5で、次のような問題です。

問5 下線部(5)(日本統治下の朝鮮)について述べた文として正しいものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 朝鮮総督府が置かれ、初代総督として伊藤博文が赴任した。
② 朝鮮は、日本が明治維新以降初めて獲得した海外領土であった。
③ 日本による併合と同時に、創氏改名が実施された。
④ 第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた。

正解は④とされています。

しかしこの設問に対し「日本への強制連行はなかった」という立場から、様々な批判や抗議が起こりました。
その訴えをまとめると、

この設問には(4)も含めて正しい選択肢がなく、受験生が正解に辿り着けない「悪問」である。高校で使用されている教科書にも「強制連行」に触れていないものがあり、設問自体が不公平だ。

というものです。

センター試験の「正しいものを選べ」という問題で要求されるのは、
・その選択肢が「正しい」こと
・その他の選択肢に「明らかな誤りがある」こと
です。この設問の場合、

① 伊藤博文が赴任したのは「総督府」ではなく「統監府」
② 日本が維新後初めて獲得した海外領土は台湾(琉球という見方もあり)
③ 創氏改名は1940年施行で、併合と同時ではない

ということで、①~③には「明らかな誤りがある」ため、消去法で④を選ぶことになります。

これに対して「新しい歴史教科書をつくる会」は29冊の教科書を調査し、10冊(41%)の教科書には「強制連行の記述がない」としています。
しかし教科書の占有率でみると「強制連行の記述がある」教科書は93.1%となるため、④を正解としたまま措置は取られませんでした。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

Pat様の降臨という笑えるネタから、政治色の強い問題まで様々な事件が起こる5年間でした。

その4【2005年~2009年】はこちら👇

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

質問やご意見、ご感想などがあればコメント欄にお願いします👇

コメント

タイトルとURLをコピーしました